【新電力(PPS)】イーレックス Research Memo(4):新たに佐伯発電所を建設中、2016年秋には出力8万kW体制に


イーレックス Research Memo(4):新たに佐伯発電所を建設中、2016年秋には出力8万kW体制に

■電力小売完全自由化と中期成長戦略

 

(3)電源の調達戦略

 

(i)発電所建設計画

イーレックス<9517>はここにきて電源調達の面でも動きを加速させてきている。同社が現在取り組んでいるのは、同社子会社のイーレックスニューエナジー佐伯(株)(以下「ENE佐伯」)で行っている佐伯発電所の建設だ。これは既存の土佐発電所と同様、PKS(Palm Kernel Shell、パーム椰子の殻)を燃料とするバイオマス発電所だ。定格出力は5万kWの予定で、2016年秋の稼働が予定されている。現在稼働中のイーレックスニューエナジー(株)の土佐発電所と合わせて、2016年秋には出力で8万kW体制となる。

 

同社の自社発電施設はPKSのバイオマス発電に特徴がある。PKS利用のバイオマス発電はFIT(Feed-in Tariff、固定価格買取制度)を活用することが出来る。

 

佐伯発電所の次のプランとしては、福岡県豊前市にて検討が進められている。豊前発電所についての検討開始についてはすでにリリースが出されており、同社と九電みらいエナジー(株)(九州電力の100%子会社)、九州高圧コンクリート工業(株)、豊前開発環境エネルギー(株)の計4社が事業化に向けたフィージビリティ・スタディ開始についての合意書を交わしたことが公表されている。

 

(ii)燃料供給体制

同社の自社発電の燃料は現在PKS主体となっているが、PKSの需給バランスは当面、買い手有利の構図が続くとみられている。輸出元はインドネシアとマレーシアで、年間1,000万トン超の発生が続く見通しだ。他方の輸入国は日本、韓国、シンガポール、タイなどで総需要量は年間100~300万トン程度とみられるためだ。しかし同社は、将来のさらなる自社電源開発も見据えて、電源のための原料調達にも手を打っている。

 

同社は、豊前やそれ以後の発電所への燃料供給も視野に、燃料供給のための子会社として、佐伯バイオマスセンターを8月に設立した。その燃料置場工事が2016年10月の全面完工を目指して、この11月に着工した。完工のタイミング及び立地から明らかなように、土佐発電所と佐伯発電所への原料安定供給が第1の目的と見られるが、現在検討が開始されている豊前発電所への供給も視野に入っているものと推察される。

 

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)