イーレックス、世界最大級のバイオマス発電 900億円投資

2018年8月14日  日本経済新聞 朝刊

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3412290014082018MM8000/


 新電力のイーレックスは世界最大級のバイオマス発電所の事業化に取り組む。大規模化で発電コストを引き下げ、政府の支援策である再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を使わずに採算を確保する計画。事業性を見極めて2024~25年をめどに稼働を目指す。再生エネを安定的に調達したいという企業の需要は増加が見込まれ、再生エネを巡る競争が促進されそうだ。

 

 同社は大手電力系などと協力して6カ所でバイオマス発電所を運営・計画している。新たに約70万世帯分の電力に相当する出力約30万キロワットのバイオマス発電施設の建設を検討する。東日本を中心に立地を選ぶ。投資額は900億円程度が見込まれ、大手電力などとの共同事業も視野に入れる。

 

 これまで国内最大の新設バイオマス発電所は出力10万キロワット程度で、新設バイオマス発電所としては世界最大級となる。木質チップやヤシ殻を燃料とするバイオマス発電は太陽光などより安定した発電量を得やすい。

 

 イーレックスは大規模化による発電効率の向上や燃料の大量調達で、発電コストを石炭火力発電(1キロワット時あたり12円前後)並みに抑えることができるとみている。17年度の大型の一般木質バイオマス発電のFITの買い取り価格は同21円で、現状ではFITを使う施設がほとんどだ。

 

 ただFITを巡っては国民の負担が年間で2兆円を超えるほか、設備などの価格競争が抑えられる要因との指摘もある。産業界では使用するエネルギーを全て再生エネで賄うことを目指す国際的な企業連合「RE100」など、環境負荷が小さい電力の調達を目指す動きが広がっているが、国内の再生エネは太陽光に偏り発電量が不安定な点など、企業の使い勝手が良くない。